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【パンクの洗礼】 |
作成:おともだち |
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◎パンクの洗礼TOP ◎6・70年代 ◎8・90年代 ◎まとめ |
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〜60年代〜 |
トミー!
貴男にドイツ哲学に基づくロックの歴史をレクチャーしてあげるわ。 しっかりお勉強したらご褒美をあげますからね。 そうね、60年代から始めようかしら。
☆ブリティッシュ・インヴェイション British Invasion
60年代と言えば、音楽の本場のアメリカにイギリスの優等生的なビートルズ、不良っぽくてセクシーなローリング・ストーンズ、白熱のライブパーフォーマンスのザ・フーなど 沢山のミュージシャンが進出していったの。 音楽による侵略ね。
♪ミック・ジャガー♪ Mick Jagger
ベガーズ・バンケット(Begger’s Banquet)(1968年12月リリース)
言わずとしれたロックの大御所 ローリング・ストーンズのパワフルなヴォーカル。
1963年6月、チャック・ベリーのカバー曲『カム・オン』でデビュー。 同時期にデビューしたビートルズはクリーンでスマートなイメージで売り出したけど、セクシーでワイルド、不良っぽいイメージでの売り出したわ。(そのビートルズだって日本へ来た時、不良だのなんだのといわれたけどね・・・髪が長くてエレキギターをもってたら不良と呼ばれた時代だったのね。)
ストーンズのギタリスト、キース・リチャーズが後年、ビートルズとのことを聞かれ、「俺達はブルースを演奏していた。 奴らはスーツ姿でポップソングを歌っていたのさ」 と言った事は有名よ。 実はミックとキースは名門ロンドン・スクール・オブ・エコノミックスの同級生でビートルズのメンバーよりエリートだったんだから!
オリジナルメンバーは、
ミック・ジャガー(ボーカル)、キース・リチャーズ(ギター)、ブライアン・ジョーンズ(ギター)、ビル・ワイマン(ベース)、チャーリー・ワッツ(ドラム)。
その後 ギターがブライアン・ジョーンズからミック・テイラー、そして元フェイセズのロン・ウッドへと変わり、93年にビル・ワイマンが脱退したけど、結成40年、いまだ現役のロックン・ロール・バンドなのだ! 基本的にはマディー・ウォーターズ等の影響を受け、ブルース色の強い音楽を作り続けて、グリマー・ツインズの作となる曲が殆どなんだけどね、これはジャガー&リチャーズのことなのよ。
初期の大ヒット作『(I Can't Get No) Satisfaction』や『Let's Spend The Night
Together』など、親が聞いたら娘には絶対に聞かせたくない音楽と言われ、ドラッグで逮捕されたり、その後発売された『Street
Fighting Man』が放送禁止処分となったり、『Sympathy For The Devil』に至っては この曲を演奏すると何かが起こるとまで言われたわ。
69年、ブライアン・ジョーンズが脱退後プールで溺死。 その後 オルタモントのフリーコンサートではストーンズの警備として雇ったヘルス・エンジェルスのメンバーが観客を殺すと言う悲劇も起き、60年代を象徴するようなバンドだったの。 ミック・ジャガーはキースと共にストーンズの顔。 音楽的なリーダーはキースと言われているけど、ストーンズをここまでの世界的なバンドにしたのはミックの力が大きいと思うわ。
代表作は、『ベガーズ・バンケット』かしら。 オリジナルメンバーの最後のアルバムよ。 ストーンズを語る上で『悪魔を憐れむ歌』ははずせないわ!
ヴェルヴェット・アンダーグランドアンドニコ(Velvet Underground&Nico) 67’リリース
♪ヴェルヴェット・アンダーグランド(Velvet Underground)♪
アメリカだって、黙ってイギリスのミュージシャンに侵略されっぱなしじゃないのよ。 キャンベルの缶詰のロゴデザインしたの、誰だか知ってる? そう!アンディ・ウォーホール! 彼はアメリカポップアートの旗手で、新しい芸術活動をしようと、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドをプロデュースしたの。 ルー・リードやドイツ人女性、ニコが参加してたわね。 サイケデリックな(本来は幻覚の意味、ドラッグで体験した感覚を音楽やアートに投影する)映像を使ったステージ、前衛的、実験的な音楽だったわ。 ホモ・セクシャルやドラッグをテーマにした歌なんて受けるわけないわよね〜。
でも後から出てくるグラム、パンク、グランジと言ったノイズ系の原点になって、ヴェルヴェット・チルドレンって言うのよ。 ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの与えた影響ってと〜っても大きいから、このお芝居と関係ないけど説明しておくわね、何度も出てくるからちゃんと覚えておくのよ!
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〜70年代〜 |
☆ブリテッィシュ・ロック黄金期
70年代に入ってもイギリス勢は強かったわ。
グラム・ロックでしょ、プログレッシブ・ロックでしょ、それにハード・ロック。 自分たちの新しい音楽を作ろうとした、またそれができたブリティッシュ・ロックが一番輝いていた時代ね。でも、すぐにパンクの嵐が吹き荒れるの。
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☆グラム・ロック☆
Gram Rock |
グラム・ロックのグラムの語源は<GRAMOUS 魅力的>から来てるらしいわ。
ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの影響を受けて、歌の対象は文字通りアンダーグラウンド。 みんな個性的なファッションでキメてたわ! まあ、私よりセンス悪いけど。 ケバケバしいメイクに、派手な衣装、男だか女だかわからない格好でステージに立つの。 一種の猥雑な見せ物小屋って感じかしら。
特にボウイは注目度No1ね。 オレンジ色の髪、まゆげを剃っちゃって、濃い〜メイク、キャー妖しいわ〜! 美しいわ〜! 足下は15pハイヒールかロンドンブーツ、ロンドンブーツって1号2号じゃないわよ、底の厚い厚底ブーツよ! 極めつけが山本寛斎デザインの衣装。 マントには筆文字で「出火吐暴威」だって〜! 歌舞伎を随分意識してたわね。
今でも私のこと、とやかく言う人がいるわ。 それを30数年前にやったのよ。 まだ男が髪を伸ばすなんてとんでもない!と言う時代よ。 まして男がメイク〜! ホモだ! ゲイだ! 「明美よ、アナタとレズりたくてやって来たの!」、ちょっと日本のお友達を思い出しちゃった、ゴメンね、横道に逸れたわ。 神への冒涜だ! 世の中の規律を乱す奴はけしからん! 背徳の香りに大人達は眉をひそめた!
ロックって、「若者のほとばしる反抗のエネルギー」だとすると、グラムはもっともロックらしいわ! でもあくまでもショーであって、性の革命を起こそうという運動ではなかったの。 ロックが今よりもっと「反抗」の意味を持っていた時代のパワーをグラムから感じてちょうだい!
イギリスでは、デヴィッド・ボウイ、T.Rex、ロキシー・ミュージック、アメリカではヴェルヴェット・アンダーグラウンドを脱退したルー・リード、イギー・ポップ、アリス・クーパーなんかがいたわ。 グラムって きっとギラギラした音だろうと思うかもしれないけど、ボウイは案外アコースティックな曲が多いし、この中で一番グラムらしいのは、♪T.Rex♪ かしら。
ザ・スライダー(The Slider) 72’
闇の中をヒタヒタと地を這うように迫るマーク・ボランの艶めかしい歌とギター。 なんだかとーってもイケナイ世界をのぞいたようでドキドキしたわ! グラムは熱狂的な人気があったんだけど、音楽を表現するための手段だったのに、いつの間にか目的になっちゃったのね、あっけなくグラムの時代は、おしまい。
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♪ルー・リード♪
Lou Reed |
トランスフォーマー(Transformer) 72’(舞台で出た画像の1枚目)
ヴェルヴェット・アンダーグラウンドを脱退後ソロとなった第一作で、ボウイがプロデュースした名盤よ。 彼の詩はとっても哲学的だわ。 私、ドイツの大学で哲学専攻だったから「哲学」っていうアカデミックな言葉の響きに弱いの。
社会から忘れ去られたアウトサイダーの乾いた世界を淡々と歌ってるわ。 ざらざらした声で、やる気あるのかないのか歌と言うより語りね。 このアルバムに入っている♪Dododododo♪って言うコーラス おなじみの 「ワイルドサイドを歩け!」 これね、私のことをモデルにして書いたんじゃないかしら? モデル料ふんだくってやらなきゃ! もうマネージャーがしっかりしてないから! 成功したミュージシャンには必ず樫尾林太郎や吉野屋太郎のような凄腕マネージャーがいるものよ。 私の事って何って? ウフフフ、私ってオカマでしょ、それと私のあまり大きな声で言えないあの「お仕事」の事よ。 まだわかんない? 子供だからしょうがないわ。 後で教えてあ・げ・る!
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♪イギー・ポップ♪
Iggy Pop |
ロー・パワー(Rou Power) 73‘(舞台で出た画像の2枚目)
これもボウイがプロデュースした いろんな「狂気」の詰まったアルバム。
ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのメンバーじゃなかったけど、とっても影響を受けてたわ。 全ての価値を否定する暴力的で退廃的な音楽、ステージで悪態をつく、ダイブする、ナイフで自らを傷つける、とにかく過激なのよ。 たいてい上半身裸!
パンクの連中にヒールなキャラだったから 「パンクの父」「パンクのゴッドファーザー」 と崇拝されたわ。 ドラッグ中毒になってね、70年代の中頃やっぱりドラッグ中毒のボウイと一緒にアメリカを脱出してあちこち観光旅行しながら、ベルリンに落ち着いたの。
このリハビリコンビはベルリンで共同生活して、ボウイもイギーも見事復活! イギーは浮き沈みの激しい人でその度にボウイはイギーに手を差し伸べてるわ。 ボウイとイギー、正気と狂気が紙一重って言うところとか、声も、そう顔も少し似てるかな。 彼の鋼鉄の肉体、不屈の反抗精神は今でも健在。 年をとっても小さくまとまらない数少ない骨の髄までロッカーらしいロッカーよ。
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♪デビッド・ボウイ♪ David Bowie |
・20世紀で最もビッグなミュージックスター(英 サン紙)
・全時代を通じてロックにもっとも影響を与えたアーティスト(英 音楽紙NME紙)
・・・なんか凄いキャッチコピーね。
ある時はバイセクシャルの妖しい異星人ジギー。 ある時は狂った若者アラジンセイン。 ある時はファンキーなヤング・アメリカン。 彼は次々と自分の中に人格を作っていったわ。 そして、突然全てを捨ててベルリンに現れた。 彼は、音楽だけでなくスクリーンの中でも活躍したの。 地球に落ちてきた宇宙人、英国陸軍少佐、迷宮の魔王、なんでもやっちゃうのね、まるで三上博史みたいだわ。 画家でもあるし、美術評論家でもあるわ。 もう昔の曲をやらない!ってファンを唖然とさせたり、83年「レッツ・ダンス!」が大ヒットしすぎて、これから何をやって良いかわからなくなって、正直もう駄目かと思ったわ。
90年代に入ってニルヴァーナのカート・コバーンがボウイの「世界を売った男」をカバーして、ボウイ復活のきっかっけになったわ。 数ヶ月後カート・コバーンは「世界を売った男」の歌詞のように本当に自殺しちゃった。 カート・コバーンのお話は、ズズッ〜と後でするわね。 それからもいろいろあったけど21世紀、今度こそ何者でもないボウイ自身として帰ってきた!
彼の魅力って何かしら?
豊かな表情をもった声は痺れる〜! 昔はすてきだったのに!ってがっかりさせるロッカーが多いけど、ボウイはいつまでも格好いいわ! 新しもの好きでやることが派手だから 浮ついた人のように見えるけど、人の心の暗闇をさらけ出した 内省的な詩や社会を痛烈に批判した詩を書くのよ。 鋭く胸に突き刺ささるわね、グ・サ・リ。 最大の魅力は、今度は何を仕掛けてくるかそのドキドキね。 ボウイは恐れることなく絶えず変化し挑戦しているわ。 別の言い方をすると変節。 言うことコロコロ変わるし。 でも、何やっても 「ボウイだからね!」 と納得させてしまうと所が、ボウイの凄いところよ。
ジギー・スターダスト(Ziggy Stardust) 72‘
バイセクシャルのロック・スター異星人ジギーの栄光と挫折、そしてジギーは自殺してしまうっていうコンセプトアルバムでボウイの最高傑作って言われているわ。
と〜〜〜っても自虐的なお話。 毎晩毎晩律儀に舞台で生まれて消えていくの。 なんか私にとっても似てるわ。 人々はジギーに熱狂したわ! でも、いつまでもジギーでいることが苦しくなって、ボウイはその後もジギー以外の人格を一杯作り上げたわ、 淳平でしょ、和馬でしょ、明美、美咲そしてマサト、 アラごめんなさい!違ったわね。
彼はボウイ自身でいるのが怖かったのね。 あんなに美貌と才能があってもね。 私にあるのは怒りの1インチだけ。。。。。 逃れても逃れてもジギーがあまりに偉大な存在だったので、ボウイはジギーの亡霊にずっと苦しむことになるの。
2004年の日本公演のアンコールの最後の曲は、ジギーだった。 私にはすっかり吹っ切れた力強いジギーに聞こえたわ。 華麗で過激な舞台は
DVD『ジギー・スターダスト・モーション・ピクチャー』
で見ることできるわよ、グラムの熱い時代を感じてちょうだい! 何故ボウイが狂気に取り憑かれるか、作品の中でも特にジギーについては、話し出すときりがないからまたの機会にね。
ヤングアメリカンズ(舞台で出た画像の3枚目) 75‘
『ヤングアメリカンズ(Young Americans)』
♪ヤング・アメリカンになりたかった云々♪(Byヘドゥイグ) と思ってボウイはアメリカにやって来たわ。 最初の奥さんがアメリカ人だったから、グリーンカードもOK! ワオ! 夢の国アメリカ! 元ビートルズのジョン・レノンと一緒に作った 「フェーム Fame」 も入っているこのアルバムでアメリカでも大成功するの。 やった〜!と思ったのもつかの間。 ボウイは「フェーム」つまり名声は手に入れたけど、自分作り出したキャラと自分との落差に苦しんだわ。 もう自分が何者かわからない、つまり♪アメリカに身売りしたような云々♪(byヘドウィグ)の現実、マネージメントのトラブル、もういろんなことがあって、身も心もズタズタボロボロよ。 行き着いた所はドラッグ中毒。
[画像はありません]
『ロウ(Low)』 77‘
ドラッグでボロボロになったボウイは、「私はまぎれものなくヨーロッパ人だ」と気がついて欧州回帰したわ。 何もかも捨ててね。
落ち着いた先はパンク(もちろんボウイも叩かれたわ!)の嵐が吹き荒れる故郷イギリス・ロンドンではなく、ドイツ・ベルリン。 ベルリンの壁近くで、アメリカから一緒にやって来たリハビリコンビのイギー・ポップと共同生活を始めたわ。 この頃、ルー・リードもベルリンに住んでたの。
ベルリンの緊張感が、ボウイに再び音楽を創造する力を与えたわ。 そして、ベルリン3部作(ロウ、ヒーローズ、ロジャー)と呼ばれる名盤ができあがった!
「ロウ」は元ロキシー・ミュージックのブライアン・イーノが参加。 彼はその頃、商業性を排した前衛的な音楽を手がけていたわ。 グラムとプログレの橋渡しを彼がしたのね。 ボウイはその時代の最も魅力的な才能は誰かを見つける嗅覚がとっても鋭いわ。 ボウイはそれまでの手法をすっぱり捨て去ってしまって、ボウイの潔さを褒めてあげます。 悲痛な心の声が叫ぶわ! シンセサイザーのインスト曲は陰鬱な音が東ヨーロッパの重い空気を写すようね。 自分のアイデンティティーを取り戻すために制作したと言われる名盤よ。
ヒーローズ(Heroes) 77‘(舞台ででた画像の4枚目)
引き続きブライアン・イーノとロバート・フィリップ(キング・クリムゾンのカリスマ)そしてボウイ、この3人ロック界の三大知性って言うのよ。 ロック界の知性が集まってできたこれも名盤。
パンク一色だったこの時期に、パンクになびかず、矜持の固まりみたいなこのアルバムを発表したボウイは偉いわ〜! タイトル曲「ヒーローズ」は、ボウイがベルリンの壁のすぐ脇に立つスタジオの窓から見た情景をモチーフにしているの。 ベルリンの壁の前にあるベンチでイチャイチャしてる男女を、歌にしたの。 何人も越えようとして何人もの人が亡くなった壁の前のベンチでイチャイチャしなくてもね、監視員もいるだろうに、でも〜「WE
CAN BE HEROES JUST ONE DAY」〜ボウイの詩は深いわ〜! この先は、曲を聞いて自分で考えなさい! 宿題ね!
2004年日本公演のラストを飾ったのもこの「ヒーローズ」、感激だったわ! 私は、米軍の放送をよく聞いてたけど、何もロックはアメリカやイギリスだけのものじゃないのよ。
ヨーロッパ各国、中南米、オーストラリア等全世界にロックはあるわ。 壁のすぐ向こう側西ドイツでは、タンジェリンドリーム、カン、クラフトワーク等プログレ、テクノ系、スコーピオンズ、マイケル・シェンカー・グループ等のハード系、メタル系のバンドが活躍していたわね。
<三上さんとボウイ>
戦場のメリークリスマス
83年の映画 『戦場のメリークリスマス』 (Merry Christmas Mr. Lawrence)
でボウイは日本の三上博史っていう名優と共演してるわ。 三上さんの登場シーンは、後半、ヨノイ大尉役の坂本龍一を乗せたジープを荒々しく運転して登場。 そして、英国陸軍少佐セリアズ役のボウイに飛びかかるシーン。 若さがまぶしい三上さんをお見逃しなく!
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☆プログレッシブ・ロック☆
Progressive Rock |
70年代に全盛だったプログレッシブ・ロック(以下プログレ)は、一番サイケの影響を受けてるわね。 ジャズの即興性、クラッシックの様式美をベースにして、音楽の革新性を追求しロックを芸術にまでしちゃったの。 ロックって本来「反抗」のエネルギーなのに、プログレのミュージシャンは、古くさいクラッシックを有り難がっている所があるから、ロックという概念からは外れているようだけど、自分たち独自の音楽を作ってアピールしたかったのね。
曲がやたら長くてコンセプトアルバムの形式を取ることが多いわ。 歌詞はお下品なものは一切なし。 そうね、ラブソングもあんまりないわね。 ヴィジュアルでは全く勝負できないけど、やたらテクニシャンなの。 それとメンバーチェンジの多いことも特徴よ。 でも、外から人が入ってこなくてプログレの中で移動している閉鎖的な村社会よ。
イギリスのプログレの代表的なバンドには、このキング・クリムゾン、YES,ピンク・フロイド、EL&P、ジェネシスがあるわ。 パンクの影響を受けて壊滅的な打撃を受けてというか行き詰まって自滅したのね、商業的なポップ路線で生き残るか解散か。 もう化石って言われているけど、プログレ・ハードやプログレ・メタルにその音楽の革新性は受け継がれているわ。
クリムゾンキングの宮殿(舞台で5枚目の画像) 69‘
クリムゾンキングの宮殿(In The Court Of The Crimson King)
♪キング・クリムゾン(King Crimson)♪ ♪トミーのその時の顔ったら♪ byヘドウィグ
へこんじゃって、もっともっと虚無の淵で、のたうち回りたい〜!とMな気分の時にぴったりなのが、このキング・クリムゾン。 重い!暗い!わけわかんない! ボウイの「ヒーローズ」制作にも参加したロックの求道者、強烈なカリスマ性を持つロバート・フィリップ(ギター)が率いるジャズをベースに、ソリッドで哲学的なプログレッシブ・ロックのバンド。 この人ロックって言う顔じゃないわね、怖いわ〜!
舞台で使ったアルバム「クリムゾン・キングの宮殿」は、1969年あのビートルズのアルバム「アビー・ロード」を破ってチャートの一位になって新しい時代の幕開けを宣言した衝撃のアルバムよ。 「21世紀の精神異常者」とか「墓碑銘」なんてスゴイ題名の曲が入ってるのよ〜! 「来るべき21世紀も人間は時代に絶望し、精神異常者になるしかない」(21世紀の精神異常者) 「混沌こそ我が墓碑銘」(エピタフ)こんな歌詞もロックさせちゃったの! 何年経ってもアルバムのカバー・デザイン同様強烈なアルバムよ。
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危機(Close To The Edge) 72‘
♪YES♪ ♪イエスのアルバムみたい♪ byヘドウィグ
「超絶テク」って、このバンドの為にある言葉ね。 複雑な構成をもった曲を正確無比にライブステージで再現しちゃって度肝を抜いたわ。 お家芸の離合集散を繰り返しながら今も現役のご長寿バンド。
どのアルバムのことかわからないんだけど、多分 『危機』 ね。 YESのアルバム・カバーと言えば、ロジャー・ディーン(ルービック・キューブのデザインをしたことでも有名よ)と言うほど、YESの幻想的な音宇宙をよく表現しているわ。 この 『危機』 はクラッシックの交響曲を凌駕したと言っても良い作品だわ。 このタイトル曲 『危機』 は18分強もあるの、寝ちゃ駄目よ! でも、次から次へと、これでもかと「さびメロ」のようフレーズが押し寄せてくるから寝てられないわよ!
スティーヴ・ハウのギターは天空を駆けるペガサスのようだといわれているわ! 楽器同志がバトルしているような緊張感にゾクゾクする! コーラスもとってもキレイ! う〜ん、パーフェクト! 歌詞は観念的で形而上学的って言われていて、私の哲学的思考回路をもってしても理解不能よ。 でもいいの、ジョン・アンダーソンの聖歌隊のような美しい声は、楽器ね、言葉も音。 もう現実なんて吹っ飛んで、透明で壮大な音宇宙が広がるわ〜!
聞く度に新しい発見と感動がある名盤よ!
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☆ハード・ロック☆
Hard Rock |
ハード・ロックは、耳鳴りしそうなバカでかい音、スピード感と強烈なリフ、突き上げるようなパワーが炸裂する音楽ね。 代表的なバンドには、イギリスのレッド・ツェッペリン(以下ZEP)、ディープ・パープル、ブラック・サバスが有名ね。
ハード・ロックのバンドには花形のギタリストやヴォーカルがいるわ。 ギタリストと言えば、レッド・ツェッペリンには リフの天才ジミー・ペイジ、ディープ・パープルには 早弾きのリッチー・ブラックモア。
ハード・ロックの歴史はギタリストの歴史ね。 イギリスのハード・ロックはパンクに一掃されて、失速。 後に続く凄腕のギタリストがあまり出てこなかったのね。
レッド・ツエッペリンW(Led ZeppelinW)
♪40歳以上へのサービスよ〜!♪ byヘドウィグ
『天国への階段(Stairway To The Heaven)』 は、『レッド・ツェッペリンW(Led
ZeppelinW)』に収録。 この台詞の時にバックに、ギターの憂いのある美しい曲が流れたでしょ?
ロックの王者レッド・ツエッペリンの代名詞とも言える曲よ。 12弦ギターの切ない超有名なイントロで始まり、切々と語りかけるような歌うわ。 途中からギターはエレキに変わりドラマティックに展開していくの。 クライマックスは渾身の力を振り絞るように歌い上げる『天国への階段』は、ロック史上名曲中の名曲よ。 あのロック嫌いのベルリン・フィルのカラヤンも絶賛したらしいわよ。 日本の天才マエストロ鳴瀬望なら、なんて言うかしらね?
Led ZeppelinU(69‘)
○テルミン(大阪公演より使用) Theremin
アンテナの周りで、私がアヤシイ手つきでヒュインヒュインって音を出してたでしょ? あれ、テルミンって言うのよ。
直接触れないのにアンテナの周りで目に見えない電流をコントロールして演奏をする電子楽器。 ロシアの天才物理学者テルミン博士により1921年に発表された電子楽器、シンセサイザーの原型。 勘だけが頼りだからテルミンってとっても難しいのよ、こんな難しい楽器に挑戦するって凄いことなのよ!
ロックに初めてテルミンを取り入れたのは、ビーチボーイズだけど、ツェッペリンが一番有名ね! 三大ギタリストの一人ツェッペリンのギタリスト、ジミー・ペイジは、アイデアマンでね、ヴァイオリンの弓でギターを弾いてみたり、このテルミンを取り入れたりしたわ。 「胸一杯の愛を」という曲の中間に出てくるわ。 「胸いっぱいの愛」ってどれくらいかしら? 「10億年分の愛」くらいかしら! 「10億年分の愛を私にちょうだい!」
映画『テルミン』 や
DVD『狂熱のライブ』
でテルミンの演奏シーンを見ることができるわ。
『胸一杯の愛を(Whole Lotta Love)』は、『狂熱のライヴ』に収録。
<チャンス!(92‘)とZEP、その他> 日本が産んだ天才ロッカー本城裕二のことも、忘れちゃいけないわ。
本城裕二って、このZEPのヴォーカリスト、ロバート・プラントに似てない?(青池保子さんのコミック『「エロイカより愛をこめて』のエロイカのモデルはロバート・プラント、部下のドケチの会計士ジェームズはジミー・ペイジがモデルと言われている) ライオンのたてがみのようなブロンドの巻き毛、ギリシャ彫刻のような顔立ちと長身で筋肉質の体躯、獅子座生まれの彼はアポロンの化身と言われたわ。
素肌に女性物のシャツを羽織って、じゃらじゃらアクセサリーをつけ、仰角で撮られたステージ写真のかっこよかったこと! う〜んセクシー! 鋼のような硬質の声、熱いシャウト、突き抜けるハイトーン、けだるいブルースも最高! ロック・ヴォーカリストは彼の真似をしたものよ。
ZEPと言えばね、そうやりたい放題ご乱行でも有名で、数々の伝説をうんだわ。 聞きたい? スゴイわよ〜! また今度ね! 私って、とってもイジワル〜! どお、本城裕二と似てるでしょ?
ゴナ・リーヴ・ユー(BABE I'M GONNA)
『ゴナ・リーヴ・ユー(BABE I'M GONNA)』 は、『レッド・ツェッペリン(Led Zeppelin)』に収録。
第1話 時代劇の役をもらい、家で立ち回りの練習をするときにかかる曲。 誇り高い裕二が、一生懸命練習するこのシーンはとても切ないわ。
マネー(Money)
『マネー(Money)』 は、 ♪ピンク・フロイド(Pink Floyd)♪ の 『狂気(The Dark Side Moon)』に収録。
第?話 裕二がマリさんと「サンタナ」で飲んでいる所でかかっている曲。
裕二ったら何かあるとすぐマリさんを頼って、マリさんもまんざらじゃないようなんだけど、焼けぼっくいに火がつくかしら??? マネーの入っているアルバム「狂気」は、ビルボードTOP200に15年間チャート・インし全世界で3000万枚売れた名盤。 ピンク・フロイドは最もサイケの色彩が濃く、意識の奥底を刺激するわね。 理屈っぽくて理数系のプログレと言われてるわ。 プログレの中でも最も社会性のあるメッセージを含んだ作品が多いわ。
移民の歌(Immigrant Song) 70’
『移民の歌(Immigrant Song)』 は、『レッド・ツェッペリンV(Led ZeppelinV)』に収録。
第7話 グラビア撮影のバックに流れる曲。
耽美な世界に何度見ても鼻血がでそう、あらお下品な表現で失礼! それでいておかしくておかしくて、大好きなシーンよ。 とっても曲とあっていて、よくぞここで「移民の歌」を選曲したセンスを褒めてあげます。
<裕二!こんな所にいたのね!笑>
トゥワイス・イン・ア・ライブタイム
『トゥワイス・イン・ア・ライブタイム(Images & Words: Live in Tokyo
- 5 Years a Livetime) [IMPORT]』
この間プログレ・メタルのバンド、♪ドリーム・シアター(Dream Theater)♪のライブDVDを見てたの。 アメリカの名門バークレー、ジュリアード音楽院出身で、超絶テクでこれでもかと弾き倒す今プログレ・メタルでは最高峰のバンドよ。 とくに変拍子の正確無比、鉄壁のリズム隊が病みつきだわ! ヴォーカルのジェームズ・ラブリエがマイクを拡声器に持ち替えて、なんとその拡声器で歌い出したの! 「日本の音楽シーンは10年遅れている」って裕二は言ったけど、裕二の方が先を行ってたのよ。 さすが裕二!
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☆ロックオペラ☆ |
70年代前半数々の名ロックオペラが発表されたわ。
ジーザス・クライス・スーパースター(Jesus Christ Superstar) 73‘
♪キリストもヒットラーも嫌い云々♪byヘドウィグ あたりでギターが流れる。 キリストがユダの裏切りを受け、ゴルゴダの丘で処刑されるまでを描いた名作ロックオペラ
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〔画像等、ありません〕
☆ゴッド・スペル(73‘)
新訳聖書マタイ伝のエピソードを現代ニューヨークを舞台に繰り広げたキリストを主人公にしたロック・ミュージカル。
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ロッキー・ホラー・ショー(The Rocky Horror Show) 75‘
ロックンロールとSFホラーに捧げるチープでキッチュなB級お馬鹿映画だけどこれがおもしろいのよ〜!
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トミー(Tommy) 75‘
トミー! アナタと同じ名前の三重苦の少年のおはなしよ。 ザ・フーのコンセプト・アルバム「トミー」を舞台化したの。 ザ・フー、エリック・クラプトン、エルトン・ジョン、ティナ・ターナーが出演してなんて豪華なキャストなの!
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☆パンク☆
Punk Rock |
73年にオイルショックが起きたわ。
イギリスでは、70年代後半労働党から「鉄の女」サッチャー女史の保守党へ政権が変わる頃、失業、爆弾テロ、不況と言った暗い空気にすっぽり被われてしまったわ。 特に若者の失業問題は深刻よ。 イライラした若者はどんな音楽を求めたと思う? ギンギラの服なんてダサイ! グラムはあっけなくおしまい! 楽器の練習なんかやってられないわ! 今すぐ叫びたいのよ! テクニック至上主義のプログレなんかまどろっこしい! ロックスターはもうお金持ちよ! 私たちの仲間じゃないわ! 「太った豚ども」 とロックスターを批判したわ。 もっと手っ取り早くストレートに魂の叫びを表現したい〜!
“ロックは死んだ”(ジョン・ライドン セックス・ピストルズ)ロックも敵なのよ。
シンプルで攻撃的なリズムに3コードで出来ちゃうようなメロディーを乗せて、批判的・反体制的な政治思想・メッセージを込めたのがパンク。
ビリビリに引き裂いた服を安全ピンで留めたり、ピチピチの革パンに革ジャン、ガーゼシャツに身を包み、チェーンや南京錠、鋲のついたアクセサリーをジャラジャラつけて、短い髪をツンツンに逆立てたりスキンヘッドって言うのが典型的なパンク・ファッションね。
パンクムーブメントは、ロンドンって思っている人が多いだろうけど、最初はニューヨークで始まったのよ! アメリカではヴェルヴェット・アンダーグラウンドが解散してもその精神を受け継ぐ反社会的な芸術運動が続いていたわ。 ニューヨークパンクはニューヨーク・ドールズ、ラモーンズ、パティ・スミス、といった強烈な反逆精神を持ちながらもどこか知的な雰囲気があったけど、これがロンドンに渡るとね、失業や階級社会への閉塞感をもった労働者階級の怒れる若者にもう熱狂的な支持され、社会現象にまでなっちゃって大爆発! セックス・ピストルズ、クラッシュ等沢山のバンドが暴れ回わったわ。 ザ・フー、アリス・クーパー、イギー・ポップって、それまで「悪者」だったのにパンクの連中の英雄になったわ。
勝手にしやがれ!!(Never Mind The Bollocks) 77‘
♪セックス・ピストルズ(Sex Pistols)♪
セックス・ピストルズって、まあ過激な名前ね〜! 名前も過激だけど、行動も傍若無人、過激だったわ。 暴言を吐くし、ツバも吐く。 これはロンドンにあった「セックス」っていうブティックに集まる男の子を集めて作られたバンドなのよ。 影で操るのは、この店のオーナーでニューヨーク・ドールズのマネージャーだったマルコム・マクラーレン。 マルコム・マクラーレンのパートナーでもあったデザイナーのヴィヴィアン・ウエストウッドはセックス・ピストルズの衣装を担当して、「パンクの女王」と呼ばれたわね。 今度香水を出すときは私に言ってちょうだい、プロデュースしてあげるわよん!
イギリスはパンク一色よ!
パンクの連中はそれまでの音楽を無価値だ!と徹底的に攻撃したわ。 そして自分たちの手に音楽を取り戻した気になっていたけど、その実態は景気が悪くなってレコードが売れなくなったレコード会社は、彼らに取り入り結局は利用したのね。 大人って汚いわ! セックス・ピストルズだって、所詮はマルコム・マクラーレンに操られていたようなもんだし。 音楽は一体誰のものなんだろう! ってため息が出ちゃうわよね!
レコードの売り上げだけでなく、もうこの頃ロックは巨大な「産業」だったのよ。 ビッグネームになったミュージシャンはプライベートジェットを乗り回してツアーに出たわ。 コンサートともなれば会場、機材、運搬、沢山の人もお金も動く。 特にイギリスは、これって言う輸出産業がないから重要な外貨獲得の手段なのよね。 音楽で功績を残したと言えば格好がいいけど、しっかり外貨を稼いだドラッグ歴や逮捕歴があるミュージシャンに、イギリスってバンバン勲章や爵位をばらまいているでしょ! 「反抗」こそがロックなのに、勲章や爵位をもらって喜んでいる姿には、ガッカリだわ!
パンク以降「売れる物がよい物」と言った図式ができあがっちゃったわ。 音楽の産業化。 拝金主義が大手を振って歩くわ! 本当に自分たちの音楽を作りたいと思っているミュージシャンは、辛い時代になってしまったわ。 でもね、ストレートに心の叫びを表現するっていう音楽の原点に帰って、残るべき物は残り、一種のふるいの役割をしたのよ、パンクって。
そうこうしているうちにロック界を揺るがす大事件が2つ1980年12月に起きたわ。 元ビートルズのジョン・レノンが熱狂的なファンに射殺されちゃった。 もう一つは、ZEPのドラマー、ジョン・ボーナムが飲酒による事故で死んじゃって、ZEPは解散を発表したわ。 こうして、輝ける70年代は、おしまい。
あ〜疲れたわ! ここでちょっとお休みしましょ。 ミネラル・ウォーター持ってきてちょうだい! |
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