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【2006】

ラジオ『円都通信』 岩井俊二監督との新春対談 (JFN系列)
 ・1月08日(日) 午前4時〜4時半

 ・1月15日(日) 午前4時〜4時半
 ・1月22日(日) 午前4時〜4時半 ・・・録音失敗しました。 BBSに詳細レポしてくださっていますので、ご覧下さい。
 ・1月29日(日) 午前4時〜4時半
 ・2月05日(日) 午前4時〜4時半

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・2月5日(日) 午前4時〜4時半

円都通信。 第97回。本日は、岩井俊二と三上博史の新春対談第5話。(中略・お知らせ)

BGM:マイウェイ他(YEN TOWN BAND)


岩井監督

ちょっと話、ズレルけど。 もっと嘘つこうと思っていて。 40になってからだよ、そういうように思うようになったのは。 ちょっともぅ、いぃや、って感じがしてきて。 正直に生きてるとかいう事に飽きてきたのかな。

 

三上さん

凄く分かるような気がする

 

岩井監督

罪深くない嘘だったら一杯ついたほうが楽しそうだな、みたいな感じがあって。 わりと嘘つくよ、って最近皆に言うようにして。 「俺、うそつきじゃないよ」って言ってついてたら、罪深い気もするんで。 一応、嘘つきですから、って人に。

 

三上さん

何のための嘘か、っていうのは、人によって違うよね。 その嘘のつき方で、それこそ見えちゃう、っていうか。 はったりだけだな〜、っての それも困ったもんじゃないですか。

 

岩井監督

楽しい嘘、つきたいな、と思って。

 

三上さん

うん、そうだね。

 

岩井監督

ほんとの事、言うわけないじゃ〜ん、って。 あれ? こないだこんな事言ってましたよ、って言われて、ホントの事いうわけないじゃん〜、って(笑) 必ずほんとの事、言うと思った? って。

 

三上さん

付き合いにくい〜(爆)

 

岩井監督

だんだんひねくれてきた、って言うか(笑)。 30代を振り返ると、やってきた事、すごぃ楽しいし、作ってきた作品もすごぃ楽しいんだけど。 それとは別に、自分の個人史、って考えると、何だかんだ言ってあんまり面白い時代じゃなかったな、って。 人生に対しての向き合い方とか。 10代の反抗期とか、20代の社会に出てドキドキのまま 色んなことをやっていくフレッシュ感もなくなって行く時期でしょ? これでいいんだ、ってな。 薄れて行っちゃう、ってな。 もったいなかったな、と思って。 もうちょっと やんちゃに戻ろう、ってか。 反抗期くらいに戻ろう、って思って。 結構、反抗期っぽく振舞うと、周りがびっくりしたり(笑)。

 

三上さん

それはね、一言が重いしね。

 

岩井監督

中学時代の話作ったりもしてるから。 中学時代の幼いんだけど、あらぶった感じとか、それはそれで楽しかったりするし。 片付いちゃってる自分になってくのが嫌、みたいな。 工夫していかないと。 普通にしていると、どんどん下に沈殿してっちゃうみたいな感じがするから。 そうですね、今年の目標の一つは、”うそ”。

 

三上さん

すごい 言ってる事は

 

岩井監督

嘘つこうよ、みんな、みたいな。

 

三上さん

30代って、ほんとに何ともなんないよね。 ぞっとするよね。

 

岩井監督

ぞっとするよね。 30代じゃなくなってよかった、って思うよね。

 

三上さん

思う、思う。 まだ後ろ足が抜け切っていないような感じがするんだけど、俺の場合。 そうやって変えていかないと いけないな

 

岩井監督

30代脱却すると20代に戻れた感じになる、ってか。 なんだったんだろうな、この10年間、って感じで。 いま すごい、20代に戻れた、っていう。 もうちょっと戻っていかなきゃ、って。 10代くらいまで戻りたいな、って、気持ち的には。

 

三上さん

まわりがあたふたする(笑)

 

岩井監督

だんだん普通にしていると先が見えてきちゃうし、思ったより人間って長生きしない生き物なんだな、っての分かってくるし、あんまり成長もしない生き物なんだな、って分かってくるじゃないですか。 ここ止まりか、って。 皮膚的に老化してしわが増えていって。 しわの数だけ色々あるのかな?って思ってたけど、ただ しわがあるだけ、って。 それに気づきだしたら、何したらいいのかな?って思いつつ来てしまった30代であって。 やっぱり、これじゃいかんな、と思って。

 

三上さん

まずは 嘘をつくこと。 孤独な道、まっしぐらだね(笑)。 知らないよ〜!(爆)

 

岩井監督

(笑)

 

三上さん

作品作り的にはどうですか? 40代入ってきて、ペースを落とそう、とかペースを上げよう、とか。 そういう 別に計算して作ってくワケじゃないからね、あれだけど。 もうちょっと本数作りたいな、とか。

 

岩井監督

本数は、作りたいですね。 ペースは変わっていないんだけど。 一日の労働時間とか、全然変わってなくて、ずーっとやってるんだけど。 一番変ったのは、世の中に出しても出さなくても一緒だ、、、って思うようになってしまって。 途中で先が分かった段階で、最終ジャッジでこれは出さなくていいや、とか、これは出そう、とか。 どこを線引きしているかわかんないんだけど。 そのときの気分で。

 

三上さん

何でしょね? その

 

岩井監督

自分は経験しちゃってるんで ずっと作りすぎちゃってるせいもあると思うんだけど。

 

三上さん

観客無視だね(笑)。 観客待ってるよ(笑)。 見たいんじゃないかな?

 

岩井監督

自分は観ちゃったし、ってことなのかな。 終わってる、っていうか。 もう一押しなんかないと、届ける気になれないというか。 部屋に飾っておくだけでいいか、これはって。 外圧と言うか、誰かと約束しちゃって、そいつに渡さなきゃ、ってのがあると、 そうすると皆も見れるわけだけど。 セルフプロデュースしてると、自己完結しちゃうから。 受け取る人がいないんで。 バトンタッチするプロデューサもいないわけだから。 自分でやってると作ってた終盤になってくると「これ、出さないな」って思っちゃうと、ほんとに出さないで終わっちゃう、って感じになる事もあって。 ずっとは作り続けているんだけど、休んでいるように見えて。 休んでないんだ、って言うんだけど。 「最近休んでるよね?」とか言われて、殴りかかりたくなるよね(笑)。 最近休んでるよね、って。 え? 俺が?って。 ずっとやってんだってば、って。

 

三上さん

わかんないもん、だって。 また嘘の1つかと思うかもね(笑)

 

岩井監督

(笑)そういうのもあったりして、このままいくと、1作品やると2・3年経っちゃったりとか、平気でしそうなんで。 そうすると、そんな本数と関わりあえないし。 そういうのもあって、脚本で止めて他の監督に渡したりとかして。 今もやってる、アマチュアの書いた本をリライトしたりとか、次、バトンタッチしたりして。 プロの脚本家だったり監督とかとプロデュースしたり。 いま、ひとつの楽しみではある、というか。 自分の出産する物に関して、何が喜び、って、自分の中の喜びでしかなくなってる、ってか。 自分が納得するかしないか 人のやつとかやってると、素直に喜べたり祝福出来たりとか

 

三上さん

ほんと? 自分のようなクリエーター 相手にしなきゃいけなかったら、大変だよ。

 

岩井監督

そこはもう、渡しちゃうので、

 

三上さん

あ、そうか。

 

岩井監督

後はよろしくね、みたいな感じで。

2006年は、なんか?

 

三上さん

2006年。 やりたい事はいくつかあって。 昨年久々に自主制作で出したアルバムでライブ展開をしたい、ってのと、役者の立場だけでもなく、プロデュースに携わりながら、、、1本やる ってつもりは全然なくて。 役者としてきっかけとしてプロデュース、って話になったんだけど。 これからは、自分が出なくてもプロデュースできるような、こんなすげぇ才能あるじゃん? みたいなの見つけたら、すぐ、自分が感じたら、思ったら、それを引っ張り出せるような状態にしていきたいな、とか。 その第1弾として、自分のプロデュースで映画を一本やる。 ってまぁ、さっきのしわの話じゃないけれど、役者は生ものなんで、どんどん姿かたち、変わっていくじゃないですか。 そんな中で ここ数年どうやって行こうか、と、ここ何年か考えてて。 いや、きっついな、と。 

 

岩井監督

きっついな〜?

 

三上さん

きっつぃよ(笑)。 舞台、って、考えていなかったわけではないんだけど、もっと大嘘つけるんで、3年前からまた舞台、復活したんですよ。 やってみたら、これはまた凄い事で、遣り甲斐もあるし、それを年に一個ずつここ3年やっているので、今年も1本夏に舞台をやって。 あとは、また半年くらいに山の中こもるか・・・。 そんな感じですかね。

 

岩井監督

映画監督は

 

三上さん

何年も前に 僕が自分で脚本をチョコチョコチョコチョコ書いていたものを読んでくれて。 そん時に、びっしり細かい字で感想をFAXで3枚送ってくれたのを今でも持っているんだけど。 あれは作品 映像にはならなかったけど。

 

岩井監督

あれ、面白かったですよ

 

三上さん

そうですか? やってみたい!って言うほど、やってみたくないのかもしれないし。 でも、やらずにおれない時も来るような気もするし。 だから、自然に身をゆだねて、ふっと来たときに ぱっとやっちゃおうかな、と思いますけどね。

結局、岩井さんの現場って、スワロウしか知らないけれど、大変だから楽しかった、ってのあるしね。

 

岩井監督

スワロウ、でも、中国語が大変でしたよね

 

三上さん

いや〜、楽しかったな〜、ホントに楽しかったな〜。 あの悪夢のような何週間(笑)。 その前もあるからね、準備がね。

 

岩井監督

三上さん、あまりパーフェクトな中国語しゃべってるんで、だんだん当たり前になってきちゃって(笑)。 一回、「なんか、ここ、適当にしゃべってくれ」って頼んだ事あったよね(笑)。

 

三上さん

そうそう、それはできない、とかって(笑)。

 

岩井監督

最初、きょとんとして、あれ?って。 なんか、適当にしゃべってくれればいいんだけどな、って言って。 あ、中国語なんだ、とか思って(笑)。 すっかり慣れちゃってたよ〜、って。 それ以外しゃべれないんだよね、って。 普通にしゃべれている気がしていたよ、なんて(笑)。

 

三上さん

未だに中国の人と初めて会うとね、台詞の中からしゃべるんだよね。 あのときの台詞は全部覚えてるから。 日常会話できないんで、台詞の中で会話してる。 また参加させてください、って感じかな。

 

岩井監督

はぁ〜い。 色々ほんとにやれたら面白いですよね。 まぁ、そんな感じで 新春(笑)

 

三上さん

新春(笑) はい(笑)。

 

岩井監督

新春、ってすごいな。 はぃ、そんな感じで、じゃ(笑)

 

三上さん

(笑)ありがとうございます

 


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