映画 「月の砂漠」 〜 第54回カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式招待作品 〜  

【スタッフ・キャスト・ストーリー・記録・感想】 舞台挨拶レポ

【スタッフ】
プロデューサー:仙頭武則、 監督・脚本・編集:青山真治、
撮影:田村正毅、 照明:佐藤譲、 録音:菊池信之、 美術:清水剛
配給:レントラックジャパン、パンドラ、 製作:「月の砂漠」製作委員会
作品で流れた音楽:ビーチ・ボーイズ「キャロライン・ノー」  ローラ・ニーロ「キャプテン・セント・ルーシファー」


【キャスト】
三上博史(永井恭二) とよた真帆(永井アキラ) 柏原収史(キーチ) 碇由貴子(永井カアイ)
細山田隆人(ツヨシ) 生瀬勝久(市山) ピエール瀧(榊) 村上淳(白木)
國村隼(野々宮) 夏八木勲(ツヨシの父) 秋吉久美子(キーチの客) 萩原健一(社長)


【ストーリー】 〜 アシタ、アナタはドコにイル? 〜


【記録】 2001年作成 東京都内・静岡県の島田市(大井川の中流)にてロケ
2001年 フランス映画祭(横浜)にて、初めて上映された邦画。
2003年8月 大阪(シネ・ヌーヴォー)にて先行上映。
2003年9月 待ちに待った上映!(池袋にて舞台挨拶
ノベライズ:「月の砂漠」青山真治/角川書店(2002.12発行)
 ※ キーチのストーリーや、永井さんとアキラのその後も書かれています。
DVD:あり、ビデオ:なし(131分)


【感想】 <はじめは 余談>

カンヌまで観に行けなくてPCの前で、赤じゅうたんを歩く三上さんをお祝いしておりました。 次に観るチャンスのあったフランス映画祭(横浜)では、当時、”映画を観に横浜に行く”という感覚がなかったのと、”この後、全国上映される”という根拠のない確信を持っていたため、見送りました。 そして、待つこと2年。 ようやく観ることが出来ました。 1日限りの大阪先行上映。 ずっとずっと待っていました。 長かった〜〜。

一緒に観に行く友人に、映画館までわざわざ前売り券を買いに行ってもらい、わくわくしてその日を待っていました。 ところが、当日。 数十年ぶりに台風が大阪を直撃。 仕事を終え、暴風警報の出る中、映画館へと向かいました。 ”上映されるのかしら? 帰る時も電車は動いているかしら? 家に帰れないんじゃないのかしら?(その時は映画館に泊めてもらおう♪)”などと考えながら。

そんなこんなで、悲壮な思いで映画館に到着。 上映前、支配人さんからのご挨拶。 この日の上映まで辿り着けたいきさつを教えてくださいました。  カンヌから帰ってから、仙頭さんの会社が倒産。 上映の見込みが立たなくなったそうです。 2年かかって仙頭さんが新しい会社を起こし、多くの協力を得、ようやくこの日を迎えることが出来ました、ご覧下さい、と。
(ご挨拶が済んでまもなく、映画は始まりました:絶妙のタイミングでした)

華やかな檜舞台から一転してどん底に陥り、這い上がって、とうとう今日のこの日を迎えることが出来た、、、ずっと上映を待ち望んでいた作品だったので尚の事、「そんな事があったのか〜」と観る前から胸がいっぱいになってしまいました。 その状況で、タイトルバック。 都心の高速道路を運転する三上さんの映像とビーチ・ボーイズの「キャロライン・ノー」。 いきなりはまりました。 なんて、かっこいい映画なんだろう! なんて、心地よい映像なんだろう!

余談ついでにその頃の私は、自分の能力以上の仕事を任され期待され、光栄に思いながらも押しつぶされそうになっていました。 自分の思いだけではどうにも仕様のなくなった永井さんに感情移入する部分が大きかったです。


<ここから 感想>
流される、、。 この映画を初めて観たときに浮かんだ言葉。
大きな波が来て、やっと抜けて波間から顔を出したと思ったのもつかの間、またもっと大きな波が。 それが一日のうちに何度も訪れる。 永遠と思えるくらいに続く毎日。

チャレンジする気力も方法もすべて見失い、疲れ果ててしまった永井。

IT企業の一時代を築き、世界を引っ張り続けてきた男。 おそらく彼の中では無理をしたわけでもなく、当たり前のことを当たり前にやってきて、その結果が世界と時代を引っ張る事になっていただけのこと。 これがどれほど凄いことなのか、の自覚もやっている内容に比べれば、ほんのごくごく小さなものであったろう。

当たり前と思うことを当たり前にした。 したいと思ったことをしたいようにしてきた。 その結果が大成功。 彼にとっては、ずっとそれが当たり前のことだった。

でも、

ページTOPへ