映画 「草迷宮」  〜 三上さん15歳デビュー作品 〜  

【スタッフ】
演出・監督:寺山修司、 原作:泉鏡花、 作・脚本:寺山修司・岸田理生
撮影:鈴木達夫、 録音:木村勝英、 助監督:相米慎二、
音楽:J・A・シーザー、 美術:山田勇男、 編集:大島ともよ、
挿画:花輪和一、 美術進行:浅井隆、 コーディネーター:ヒロコ・ゴヴァース、
製作:人力飛行機舎


【キャスト】
三上博史(明・少年時代)、 若松武(明・青年時代)、 新高けい子(明の母)、
中筋康美(狂女)、 伊丹十三(校長、僧侶、老人(三役))、他


【ストーリー】 幼い頃耳にした、母の口ずさむ手毬歌。 母の死後、記憶だけを手がかりに、その詞を求めて旅に出る。 誰に聞いても同じものには出あえない。 旅の終わり、手毬をつく美少女の館に誘い込まれ、そこで見たものは。。  青年・明の旅は続く。

【記録】 1979年作成 高松ロケ
  企画制作 : ピエール・ブロンベルジェ(フランスの映画プロデューサー)
  フランスのオムニバス映画「プライベート・コレクション」の1話として製作された。 40分。
1983年11月公開
・シナリオ本:「田園に死す、草迷宮」寺山修司/ フィルムアート社(1983.11出版)
 ※ お写真イッパイ載ってます。
・DVD:あり(2003年寺山修司没後20年、最新技術を駆使して蘇る)

【感想】 過去と現実が混沌とし、色彩が非常に美しいです。 妖怪が跳梁跋扈するシーンは、大変なパワーにあふれ見入ってしまいます。 天井桟敷の役者さんたちの身体表現が素晴らしく美しいです。 作品中、度々登場する、手毬と赤い帯。 それに ”丸”から想像できる、手毬とかすいかとか、とにかく色んなものが登場します。 丸いお母さんの胸、丸いお母さんのお腹(妊娠中)。 「ほら、もう一度お前を妊娠してやったんだ」 非常に幻想的で美しい映像満載です。

若松さん演じる青年・明が手毬歌の歌詞を求めて旅をしますが、回想シーンで少年・明として登場するのが、オーディションで寺山さんに見出されちゃった三上さん。 高校一年生。 ものすごく可愛らしい上に、知力に富んだ人独特の聡明で凛とした健康的な美しさがあります。 そりゃ寺山さんが、「絶対、この子!」って思って当然。(事前に他の人に決まってたのがひっくり返ったとか 
※舞台『青ひげ公の城』製作発表にて

この三上さん。 新高さんがお母さんで、将来の姿が若松さん。 親子役もバッチリはまってたし、若松さんともそっくり。 とても幼く可愛らしいけど、眼光鋭く、この頃から色っぽい!(笑)

〜ここから、少年・明にしぼったあらすじ含みます〜

さて、この少年・明ですが、とっても大人しいです。 母1人、子1人みたいです。 紅花をもんで色を出して、お母さんのお手伝いもします。 お母さんは、突き放したような態度をとっていますが、可愛くて仕方ないでしょう。 それにしても、お母さん、めちゃくちゃ色っぽいです、どきどきします(笑)。 明はお風呂上りの様子を見ても、まだまだやっていることが子供です。 そんな息子が蔵に幽閉してる狂女に誘惑されてしまいました。

明にしてみれば、学校から帰ってくると赤い帯が蔵から伸びていたので、「なんだろう?」って、帯を辿って蔵に入っただけ。 そしたら綺麗な女の人がいるので、びっくりして固まってたら、いきなりその人に襲われちゃったんですもんね。 どんな思いだったでしょう。

それにしても、モザイク、外して欲しかったです。 ”見たい”とか言ってるんじゃなくて(強調・笑)、なんか不自然だったもん、やっぱり。 色々仕方ないんだろうけど。 作品によってはいろんな事、適用外にしてくれたらいいのに。

その女性、よほど魅力的だったのか、はたまた、怖いもの見たさだったのか、明はまた蔵に行ったみたいです。(-_-;)

お母さんの怒りは収まりません。 明を木に縛り付け、おまじないに手毬歌の歌詞を頭のてっぺんから足の先まで筆で書いてゆきます(有名なシーン)。 すっかり書き終えたら、そのままお母さんは妖艶な笑みを残してお出かけ。 帰宅後、縄はといてもらえたみたいです。

ある日、学校から帰ってくるとお母さんはいません。 川まで探しに出かけます。 向こう岸にパラソルをさしたお母さんの姿が。 重なる映像。 お母さんと重なっているのは成長した自分(青年・明)の姿。

少年・明、おぼれて死んでしまいます。 戸板にのせられ、運ばれていく明。 その後を、花嫁衣裳らしき華やかな衣裳に身を包んだお母さんが続きます。

実際の明は、青年になって手毬歌の歌詞を探して旅している位だから、肉体的に死んではいない。 溺れ死んだのは、母と重なったことへのみそぎ? お母さんの花嫁衣裳は何かのスタート、ってこと? 別のシーンで 「もう一度お前を妊娠してやった」って言ってるから、明にとっても何かのスタート? では何が終わって、何が新しく始まったんでしょう? 原作読めば見えてくるのでしょうか。  そんなにあれこれ考えちゃいけないのでしょうか。(なわけないですよね)

三上さんは、新人さんだからかな? と思っていたのですが、若松さんも伊丹さんも男性はみんな、訥々とした話し方をされています。 でも、女性はそうではありません。 この話し方も何か意味があるのでしょうか?

分からないことはイッパイあるものの、ほんとうに綺麗で刺激的で素敵な映画です。 ”映像美”、まさにそうです。 私は好きです。

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